行列のn乗を求める問題というのは, 大学入試で頻出問題です. 大学に入った後も, n乗を求めたくなる場面がちょくちょくあり, そのたびに面倒くさいなあと思ってしまいます. 例えば連立漸化式を立てて求めたい時に, n乗をちゃちゃっと求めたくなるんですよ. ここでは2行2列の行列に限った上で, 一般的なn乗の式を紹介し, それを導出してみましょう.
定理
2行2列の行列に対して, そのn乗は次の式で与えられる.
但し, , は固有値である.
導出
固有ベクトルをそれぞれ, とする.
n乗して
固有ベクトルを成分で表すと
である. よって
である. 横に並べると
逆行列を右から掛けて
一般式を得ることができた.
さて, 固有値が重解である場合は,
となる. このことと二項定理より
となる.
a, b, c, dで表すと...
めんどくさがり屋にとっては, 固有値を求めるのすら面倒くさいという話です. ならばそれらをで表してしまえばいいですね. 簡単な話です.
全て展開すると,
んあー... あってるのかなあこれ...??? ココまで展開すると逆に覚えられなくなりますね. 最初の公式のほうが分かりやすいですよね.
簡単な行列
具体的に何かを入れて見て, 公式があっているかどうか確かめてみましょう.
固有値がそのまま行列に出ている形. 実際に一般式に代入し, 簡約してこの形になることを確かめて下さい.
固有値が重解となるパターンです. 場合分けの下の方に代入して確かめて下さい.
まとめ
一般式, 驚くほど簡単に求められるんですね. 久しぶりにこういう高校生っぽいことやるのも, なかなか楽しいですね.