伏線を張るなんて陳腐な表現は似合わない.
キャラの名前から細かな性格や行動まで, 全てを緻密に計算し尽くした上で, 織り成していく物語展開.
私が言うのも烏滸がましいが, 脚本家の頭の良さが光る.
阿澄佳奈はとても良かった.
大好きだ.
最初に声が流れた時はニヤリッとしてしまった.
特に, 阿澄佳奈が両手を横に伸ばして走っているシーンは非常に良かった.
その正体については, 大方予想した通りであっただろう.
無論, 本編を観ていないと, この映画を観てはいけない.
観る人は, 物語の端から違和感を感じる.
幸せなのに, 幸せであってはいけないという違和感.
観る人に暁美ほむらと同じ感情を抱かせ, 物語は滑らかに転がって行く.
しかし, そのような茶番は一気に終息する.
暁美ほむらは, 他のキャラクターも観客も, 一気に突き放す.
こうなると, 過半数の観客はもはや付いて行けない.
自己の欲求の為に行動する暁美ほむらに呆然とする.
そして, 愛の力などというありふれた言葉でオチを付け, 観客はズコーとなる.
もう何がなんだか分からない.
私も映画館を見た後, 暁美ほむらの感情を辿ろうとして何度も失敗している.
二度三度見ないと理解できないだろう.
これまでに見てきたアニメの, どの女の子とも一致しないためか.
今は理解できないが, 裏にあるであろう全ての計算を暴きたいとも思う.
このような駆け引きを楽しめるのも, この作品の醍醐味の一つである.
叛逆の物語
成程, 確かにそういう話であった.
同時に, 脚本家から観客の予想へのそれなのかもしれない.