スクロールバーは死ぬのか

最近, スクロールバーの進化をまとめた画像が話題になりました.
(画像の出典: http://twitter.com/ilistes/status/250658949467099136 )

ほう, スクロールバー, かっこよくなっているなぁといった感じです. Vistaや7のものが無いのは, おそらくこの人がマカーなのでしょう.

やはり注目すべきは, Macのスクロールバーです. 僕がMacを持つようになったのはここ二年ほどなので, 青いクリスタルのスクロールバーは知っています. しかし最近OS X Mountain Lionにして驚きました. スクロールバーが普段は消えるようになったのです. スクロールする時だけじゅわっと現れて, スクロールを終えるとじゅわっと消えます.

スクロールバーが普段消えるということは, それは普段は見せなくても良いという彼らの意志が読み取れます. そう言われてみればいらないのかも, という気になってきます. 更に, 昔はあった三角のボタンもなくなっています. そう言われてみればアレをマウスでポチポチしたことはないな, そう思います. 更に, 以前より細くなりましたね?(マウスを持って行くと太くなるのですが) 彼らはこいつをマウスでつかもうとするな!, そう言っているようにさえ思えてきます.

僕はさほど歴史に詳しくないので推測の域に過ぎませんが, スクロールバーの退化(と言っていいと思います)は, タッチパッドの進化と関連があるでしょう. 或いはiPadiPhone, iPod touch等の製品からの影響かもしれません. あのように狭いスクリーンの中では, 十何ピクセルも横幅を取られていてはかなんのと, 画面上で指を滑らせて操作するというスタイルに, あんな細いものを掴んでドラッグするみたいなことはもはや不要になったからです. iPadまでの操作性とは言いませんが, ほぼ同程度に直感的な操作を実現するMBAタッチパッドはもう手放せません. MBAを買ってそれ用にマウスを用意したけれど, 数日後にはマウスなんて要らなかったよと言っている人を知っています. この進化したタッチパッド故にスクロールバーが退化した, というのが一つの意見です.

タッチパッドと言えば, スクロールの方向, 逆になって混乱したことありましたよね?新しいほうがカッコいい!と思ってScroll Reverserを導入した人と, 前のほうがいい!と思って導入した人がいたことでしょう. しかし, 彼らの意志に従うのが一番良いのです. 逆になったのは先程も言いましたが, タッチスクリーンの製品からの影響なのでしょう. そして, この操作はスクロールバーを掴んで操作する方向と見事に逆になりました. 嗚呼. スクロールバー, 南無阿弥陀仏.

スクロールバーが普段消えてしまうことに対する批判はおそらく, 文章のどの位置のどれだけの範囲を見ているのか分からない, という一点に限られるでしょう. 例えば本を読んでいると, そのページが真中より前か後ろか, 1/3くらいの場所か, など手に取るように分かります(実際に手にとっているのですが). おそらくiPadのPDFリーダーなどで, 本を模して左右の両端に本のページのような画像が出るのようなものもあるでしょうが, そういうのは装飾過多で好ましくありません. 僕は普段Preview.appをContinuous Scrollで使っていて, 確かにスクロールバーがなくなって文章のどの位置を読んでいるかあまり良くわからなくなりました. しかしそれで困ったことはありませんし, 昔のほうが便利だったとも思いません. 意識しなくなった, というのがぴったり来ます. あとタイトルバーのところに何ページ分の何ページを見ているか出てますしね... そっちを見ている気がします.

そういえばこの文章を書いているエディターも, スクロールバーがありません. そもそも, 端末にはスクロールバーなんてものはありません. 画面は流れゆくものなのです(lessを使えってことです). この画面に慣れているからスクロールバーが無くても違和感がないのかもしれません(^Fで検索窓が出てくる腹立たしさったら!).

UIには淘汰があります. ある技術が進化した故, 退化してゆく他のインターフェース. 脳内で思ったことをタイプするだの, パソコンからキーボードはなくなっているだの夢物語を語るのは皆さんお好きなようですが, もう既にその進化の片鱗は見えているのかもしれません.