DMM.makeさんに3Dプリンターでメンガーのスポンジを作ってもらいました!

DMMさんは3Dプリントのサービスをやっておられるの、ご存じですか。

今回は、このDMMの3Dプリントサービスを使ってみました。

3Dデータをチェックするソフト

ソフトは幾つもありますが、お手軽だと思ったソフトを紹介します。

このMeshLabというフリーソフトは、余計な機能が付いていないレンダリングソフトで、初めての私にも簡単に使えました。
アスキーSTLデータをバイナリーで保存してくれる機能もあって、とても便利です。


また、3Dプリントサービスは、それぞれの会社がデータを確認するソフトを提示してきます。
DMMの3DプリントサービスではMiniMagicsというソフトで確認するよう言ってきます。
データを入稿する前に、必ず指定されたソフトで確認するようにしましょう。

3Dデータを用意する

まず、用意しなければならないのは、プリントしたいオブジェクトの3Dデータ。
3Dデータのフォーマットにはいくつかありますが、今回は一番簡単なSTLファイルを使ってみました。


STLファイルの仕様はとても簡単です。

オブジェクトの表面を覆うような小さな三角形を、並べるだけです。
一つの三角形は、

  facet normal [法線ベクトル]
    outer loop
      vertex [頂点1]
      vertex [頂点2]
      vertex [頂点3]
    endloop
  endfacet

のように指定します。


例えば、

solid cone
  facet normal -1 0 0
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 10 0 0
      vertex 0 0 10
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 -1 0
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 0 10 0
      vertex 0 0 10
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 0 -1
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 10 0 0
      vertex 0 10 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 1 1 1
    outer loop
      vertex 10 0 0
      vertex 0 10 0
      vertex 0 0 10
    endloop
  endfacet
endsolid

のように、4つの面を指定すると、

三角錐になります。


あるいは、

solid cube
  facet normal 0 0 1
    outer loop
      vertex 0 0 10
      vertex 10 0 10
      vertex 0 10 10
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 0 1
    outer loop
      vertex 10 10 10
      vertex 0 10 10
      vertex 10 0 10
    endloop
  endfacet
  facet normal 1 0 0
    outer loop
      vertex 10 0 10
      vertex 10 0 0
      vertex 10 10 10
    endloop
  endfacet
  facet normal 1 0 0
    outer loop
      vertex 10 10 0
      vertex 10 10 10
      vertex 10 0 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 0 -1
    outer loop
      vertex 10 0 0
      vertex 0 0 0
      vertex 10 10 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 0 -1
    outer loop
      vertex 0 10 0
      vertex 10 10 0
      vertex 0 0 0
    endloop
  endfacet
  facet normal -1 0 0
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 0 0 10
      vertex 0 10 0
    endloop
  endfacet
  facet normal -1 0 0
    outer loop
      vertex 0 10 10
      vertex 0 10 0
      vertex 0 0 10
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 1 0
    outer loop
      vertex 0 10 10
      vertex 10 10 10
      vertex 0 10 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 1 0
    outer loop
      vertex 10 10 0
      vertex 0 10 0
      vertex 10 10 10
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 -1 0
    outer loop
      vertex 10 0 10
      vertex 0 0 10
      vertex 10 0 0
    endloop
  endfacet
  facet normal 0 -1 0
    outer loop
      vertex 0 0 0
      vertex 10 0 0
      vertex 0 0 10
    endloop
  endfacet
endsolid

のように、12個の三角形を指定すると、

立方体になります。
立方体は、六つ面があり、それぞれの面を二つの三角形で表すので、12個の三角形を指定することになりますね。

メンガーのスポンジ

メンガーのスポンジというのは、フラクタル図形の一つです。

フラクタルな図形は、簡単な再帰で描画できるので、一時間位でコードを書き上げることが出来ました。
その結果がこれです。

綺麗ですね。


数学的に言うと、本当のメンガーのスポンジは体積が0なので作れません。
穴を開けるステップを途中で止めて描画してみると、体積があり、3Dオブジェクトとして実在できます。

データを入稿する前に

自分でデータを吐くソフトを書いた場合は特に、オブジェクトとしてきちんとしていることを確かめることが大事です。

  • 法線ベクトルがきちんと外向きになっていること (裏表反対だと怒られます)
  • 表面が多様体として閉じていること (面に穴が空いていると、オブジェクトとして成立しません)

をきちんと確認しましょう。


また、寸法はちゃんと確認しましょう。
3Dプリントのサービスが指定しているソフトで、寸法をチェックしましょう。


あと、STLデータはasciiデータだと容量が大きいので、binaryに変換しましょう。
上のほうで紹介したMeshLabは、簡単にbinaryで保存し直す機能があります。
更に、DMMさんは、zipで圧縮してアップロードしても大丈夫でした。

データを入稿、注文

3Dデータのアップロードは簡単です。


ここのアップロードをクリックして、ファイルを指定するだけです。


DMMのこのサービスは非常に速く、ファイルをアップロードしてから15分ほどでデータのチェックと見積が送られてきました。
今回の場合、こんな感じでした。

・素材と価格:
 アクリル樹脂 7,997円
 アクリル樹脂 レッド 8,474円
 アクリル樹脂 ピンク 8,474円
 アクリル樹脂 ブルー 8,474円
 アクリル樹脂 パープル 8,474円
 アクリル樹脂 ブラック 8,474円
 アクリル樹脂 オレンジ 8,474円
 アクリル樹脂 イエロー 8,474円
 アクリル樹脂 グリーン 8,474円
 アクリル樹脂高精細 10,806円
 ナイロン(ポリアミド) 3,397円
 ナイロン(ポリアミド) レッド 3,533円
 ナイロン(ポリアミド) ピンク 3,533円
 ナイロン(ポリアミド) ブルー 3,533円
 ナイロン(ポリアミド) パープル 3,533円
 ナイロン(ポリアミド) ブラック 3,533円
 ナイロン(ポリアミド) オレンジ 3,533円
 ナイロン(ポリアミド) イエロー 3,533円
 ナイロン(ポリアミド) グリーン 3,533円

今回は、一番安い3397円のナイロンを選びました。


後は、普通にショッピングするのと同じで、支払い方法と配送先を指定すれば完了です。
とても簡単な事に驚きました。

届く

データを入稿してから、たったの3日で発送されました。

届いたものがこれです。寸法は、一辺40mmです。

第一印象は、「意外と綺麗!」でした。
臭いもありません。それに、硬いです。机の上に置いて、手のひらで体重をかけても壊れそうにありません。

きちんと奥まで穴が開いています。

バリもほとんどありませんでした。



ただ、よく観察してみると、面によって穴の大きさが異なることに気が付きました。
小さくて丸い穴

長方形の穴

長方形の穴の面が4つあることから、多分小さくなっているのは出力する時に下になっている方で、長方形なのは重さと熱で潰れたんだと思います。
一番きれいな面は出力する時に上だったのでしょう。

素材をどれにするか

今回は、一番安いナイロンを選びました。
しかし、上記のように、あまり精度は出ているとは思えません。
もちろん綺麗さを求めるには、お金が要ります。
アクリル樹脂、あるいはアクリル樹脂高精細などを選ぶと、より細かいオブジェクトを作ってくれると思います。


実際、メンガーのスポンジで、もう一段階細かいものを作ってアップロードしてみると、アクリル樹脂しか選べないようになってしまいました。

・素材と価格:
 アクリル樹脂 10,723円
 アクリル樹脂 レッド 11,327円
 アクリル樹脂 ピンク 11,327円
 アクリル樹脂 ブルー 11,327円
 アクリル樹脂 パープル 11,327円
 アクリル樹脂 ブラック 11,327円
 アクリル樹脂 オレンジ 11,327円
 アクリル樹脂 イエロー 11,327円
 アクリル樹脂 グリーン 11,327円
 アクリル樹脂高精細 14,787円
 アクリル樹脂 10,723円
 アクリル樹脂 レッド 11,327円
 アクリル樹脂 ピンク 11,327円
 アクリル樹脂 ブルー 11,327円
 アクリル樹脂 パープル 11,327円
 アクリル樹脂 ブラック 11,327円
 アクリル樹脂 オレンジ 11,327円
 アクリル樹脂 イエロー 11,327円
 アクリル樹脂 グリーン 11,327円
 アクリル樹脂高精細 14,787円

オブジェクトが細かくなると、ナイロンは選べなくなるのです。
逆に、細かいものを作りたい人はアクリル樹脂を選ぶということですね。
ただし、お値段はかかりますよ、と。
初めて注文するということで、いきなり一万円は怖いなぁということで、ナイロンで試してみたということです。
次はアクリル樹脂でお願いするかもしれません。

感想

3Dプリントは注文するのが楽しい!です。
実は、手元に自由に使える安い3Dプリンターがあるのですが、色々問題があってあまり使っていないです。

  • 暖めるのに時間がかかる
  • よく失敗する (オブジェクトが台から外れる)
  • 積層面が明らかに見えて綺麗じゃない

それに比べると、やっぱり金に物を言わせて注文するのが楽ですね。
実は、DMMの前にデジモデを使ったのですが、デジモデは値段が高くて、クレジットカードが使えない上に、サポートを自分で取らなければならず、出来たものは臭いです(素材は高強度の耐熱樹脂「織部」とかいうやつです)。
DMMのサービスが意外に良かったので、今後もDMMのサービスを使うと思います。
皆さんも、3Dデータを作ってみて、プリントして楽しんでみてはいかがでしょうか!

追記

アクリル樹脂高精細でも作って頂きました!
5,653円でした。
寸法は30mmx30mmx30mmです。


精度は問題ありません。ナイロンよりも精度出ています。
しかし、もうちょっと透明な仕上がりをイメージしたのですが、黄色っぽいです。
1mmくらいの厚さでも、向こう側は見えないと思います。
また、送られてきた直後は、オブジェクトの表面に油が付いています。
少し洗ったのですが、放っておくとやはり少しずつ油分が出てきてしまうようです。
ナイロンのものはほとんど臭いはしませんでしたが、アクリル樹脂は油の臭いがします。


ということで、アクリル樹脂高精細、いまいちなんですよね。
特に油が出てくるのがきついです。
精度を重視しないのであれば、ナイロンの方がいいと思います。