前回から始まった美しき行列式たち, 第二回です. 連載にはタグ『行列式』をつけています. 今回は巡回行列式(Circulant matrix)という行列を紹介します.
3. Circulant matrix
行列式=何かの積和となっています. この行列は正式名称です. まずは真ん中の式を見誤らないようにして下さい. どの行ものセットで, それが巡回しているんです. 右辺は1の全ての根についての積を取ります.
(証明) をのn乗根, とする. すると, 固有値及び固有ベクトルは次のようになる.
固有ベクトルが一次独立なので, 行列式は
となる.(証明終)
巡回していることと, n乗根が上手く効いていますね. 行列式が固有値の積というのは, 固有ベクトルを横に並べてみればすぐに分かります.
三行三列のCirculant matrixの行列式は次のようになります.
おうおう, 高校生の時に見たことある形です! 高校生の時はこの式と行列式の関係には気が付かなかったですね...
4. Circulant matrix - arithmetic progression
巡回行列式の1つ. 等差数列になってます. 先程の, 巡回行列式の一般式ではの根が出てきて中々見通しが悪かったんですが, 具体的な数列を入れてみる事でものすごく簡約できるんですね. この行列の証明はほかのとは異なり, 行列のサイズを変えずにをいっぱい作っていって行います.
(証明)
(証明終)