はてなブログに移行しない理由

2012年は, 多くのプログラマーはてなダイアリーからはてなブログに移行するのを見た.
さらに先日, はてなブログは正式サービスとなった*1.
それでもはてなダイアリーを使い続けるのには理由があるので, ここに書いておく.
はてなの中の人には, はてなブログを開発するのも大いに結構だが, はてなダイアリーを無くしてほしくないという気持ちである.

仕様変更への思い

プログラマーは仕様変更に苦しむ.


私は職業プログラマーではないので, そう頻繁に経験するものではない.
それでも多少はweb系のプログラムを嗜むので, Google Chromeの実装の変化には, 度々悩まされてきた.
私の好きな言語Haskellとて, 仕様が策定されている部分は良いが, GHC拡張はいつまで使えるか分からない.
そのために, 安全策をとってわざとレガシーなコードを書くこともある.
誰かが書いたライブラリーの関数の型が二転三転し, 古いライブラリーが入っているとコンパイルが出来ない経験もある.
中にはPython3やPerl6のように, 過去を断ち切って全く別の言語になってしまったケースすらある.
プログラマーは, 打ち切られた後方互換性に悪夢を見る.

一貫性の担保

物事への姿勢が一貫していることは重要である.


一度こうと決めたことには紳士になるべきだと思う.
それは, 一つは人様に迷惑をかけないためである.
自分のわがままでころころ態度を変えていると, 周りからはよく思われない.
一時の心変わりで流行に左右される人, 一度振り返って何かを失っていないか考えてほしい.

人とその人へのアクセス

個へのアクセスは永続的であるべきである.


私は高校生になって始めて自分のメールアドレスを持ったのだが, 8年経った今でもそのアドレスを一度も変更していない.
確かにスパムメールは一日に何百通も来るようになってしまったが, それでも変えないのはそれなりの理由がある.
一つは, 長いこと連絡してない人からも, 自分をアクセス出来るようにしておくためである.
もう一つはアドレスに実名が入っていることがある.


これは顕名個とて, 何ら変わりない.
現在の日本は, 技術ブログ, Twitter, GitHubなど, 匿名性を担保しつつアイデンティティを持って開発することが普通になっている.
そのアイデンティティがある以上, その人へのアクセスは永続的に可用であるべきである.
尤も, そのサービスが続く限りは, であるが, その限りではアクセス出来るようにしておいてほしい.

ブログの存在意義

顕名個のアイデンティティの確保には, 自己表現が必要である.


外見的容姿が可用でない場合, 周囲の人間は, ある匿名個を認識するために, その人のやっていることを以って認識(identify)する.
例えばなんとかというソフトに対してバグ報告をしている人であったり, なんとかというソフトを開発している人であったり, なんとかという言語に詳しい人であったり, ブックマークサービスで辛口コメントを残す人であったり, 背景の真っ黒なブログに何とかという言語についてやたらポストしてる人であったり, Twitterにて幼女をやっている人であったり.
これらは全て共通して, その人の自己表現したもので認識しているのである.
そして, ある人を特徴づけるものが技術ブログならば, 周囲の人間はそのブログを以ってその人を同定するのである.

まとめ

他人が自分を認識している物を変化させるな.


今の自分は, ある人にはTwitterのアカウント, このはてなダイアリー, そしてまたある人にはGitHubのアカウントにて認識されていると思う.
準同型写像」の記事とか, 「LaTeXでプログラミング」の記事などから自分のことを知ってくれた人が多い.
そういう人たちにとっては, このダイアリー=itchynyなのである.
これがはてなブログに移行したくない理由である.


かつてfc2ブログを使っていたので, 言い訳をさせてもらう.
あの時はそれほどアクセスはなかったし, 自分を認識している人も少なかったと思われる.
思い上がっているわけでは全然無いのだが, あの時のfc2のアカウントと今のこのはてダのアカウントは状況が随分変わったのだ.


はてな」というサービスによってアカウントは同定出来るというのは, 尤もな指摘である.
しかし, 影響力の大きな人間ならともかく, 私のような人間がはてなブログに移行した所で, わざわざ人手間かけてはてなダイアリーに戻ってきて, この人かと気づいてくれることはまずないかと思う.
インポート出来るよという指摘は, 同じ記事をブログとダイアリーで見比べて, デザインやフォントや文字の大きさなどの要素含め, 一瞬で同定出来る人のみがしてほしい.
はてなブログに移行したのではてなダイアリーを削除しますとか言っている人は, 一度目をつぶって, ネットの向こうの技術者に自分がどういう人物として認識されているか考えてほしい.





という記事を将来はてなブログにインポートすることのないよう, 出来る限りはてなダイアリーにしがみつく姿勢である.