美しき行列式たち, 最終回です. 連載にはタグ『行列式』をつけています. 今日はL字型の行列式を扱います. L字型と言えば, 第一回に紹介したL same (仮名)ですね. あれは簡単に証明できました. しかし, 今回の難易度はマックスですよっ♪
18. L increasing power (仮名)
L字型の行列式は美しいです. そして指数の部分が順々に増えていく感じの行列がこちら. 答えはの多項式, しかも積和となっています. という事は, この行列式=0の解は複素平面上で考えると云々...
(証明)
(証明終)
証明は左の列から順々に, 二行目の倍を引いて外に出していきました. ええ, これはまだ簡単なんですよ...
19. L increasing number (仮名)
L字型の最終形. 先程の行列の指数部がそのまんま行列の要素になった形です. とても難しいです. もし, 腕に自信があるならば, 今直ぐブラウザーのタブを閉じて計算を始めてください. 計算の基本は『いっぱいを作る』『くらい小さな行列で様子を見る』です.
(証明)
最後のの所では, 列目を列目からうまく引き, 次に列目を列目からうまく引き, ... 列目を列目から引いていくことで, 下にが並ぶようにした.
さて, ここで新たに出てきたの行列式を計算する.
これを最初の式に代入して
より解を得ることができた.
(証明終)
ふぅ... 滅茶苦茶大変です. 私は, この行列式のために一日がかりで付き合いました. 最初にこの行列式を計算したのは, 遥か二年以上も前になります. その時は, 一週間ずっとこの行列式に付きっ切りで考えてました. 当時は漸化式を立てて解き, 上の結果にたどり着いたんです. ところが, あまり綺麗な漸化式ではなく, 一般式を予想→数学的帰納法っていうものだったので, 何とかならないものかーと今回は別の方法を取りました. ともあれ, 今回の連載の中で最強クラスで難しいです.
総括
七回に渡り美しき行列式たちをお送りしました. いかがでしたか. ここに紹介したものはほとんど教科書に載っているもので, もっと綺麗な証明があるかもしれません. ぜひ教えて下さい. 感想でもなんでもいいですよ. コメントお待ちしてます.
余談ですが, 今回のこの連載は2週間に渡り書き溜め, それを1週間で吐き出しました. (まぁぶっちゃけ昔書いた数式とかも少しはあるんですが... 最近平日は忙しいし... 吐き出しているときは殆どその日は書きくわえてません.) 行の中でないような数式は全て外部のtexファイルに書き, それを読んで改行を除去したりしてインポートするような手段を取りました. その仕組みのお陰で, 七回分全てを1つのファイルにしても300行ほど. とても作業がしやすかったです. これから普段LaTeX使うときもこうしようかなと思います. ありがとうございましたー & おつかれさまでした(自分)
今はあまり書く気が起こりませんが, 連載の中で紹介されていない美しい行列式が出てきたら延長戦に入るかも? 何かあったら教えてください. の行列で(つまり, とかのトリビアルなものではなくて), 式が閉じていて綺麗な... まぁなんでもいいですわー. ではでは〜♪
- 3. Circulant matrix
- 4. Circulant matrix - arithmetic progression
- 5. Circulant matrix - one two three