昔書こうとした物語

昔使っていたHDDを漁っていると, 色んな思い出が出てきて楽しいです. そもそもこのHDDがクラッシュしたときに, この中に入ってるものは諦めた過去だったはずなのですが, そういうのを読み出す技術がつくと(といっても大したものでは無いですが), 無性に掘り返したくなりますね... 昔書いてた数学に関する記事もいっぱい出てきました(但し全てdocxとpdfで...)

中には, 全く記憶に無いものも出てきます. まるで自分ではない誰かが勝手に書いたような... 次の文章は, 最終書き込みが2010/7/4 20:54のnovel.txtの内容です. 一年半前とは言え, さっきも言いましたがクラッシュしたHDDの中身は全て記憶から消したつもりだったので, これを見つけたときはびっくりすると共に, とても恥ずかしくなりました.

無。
何もない。
誰もいない。
そんな世界を
ただ一人で
歩いていく。
どこまでも。

ピーンポーン

あれは、隣の世界の音

コンコン

隣の世界の

ピーンポーン

隣の

コンコンコン

うちか?
どうせ新聞か受信料だろ。

ピーンポーン

あーーうっせーーー。
目が覚めてしまったじゃねえか。
ふわふわ漂うだけの夢からも。

ムクリ

11時だ。
夜の。
そうか、皿洗った後寝ちまったんだな。

コンコン

はいはい、分かった分かった。

「どちらさま?」
受話器を掴んで聞いてみる。
「…」
「新聞は読まないんで」
受話器を戻す。

ピーンポーン

「新聞じゃないの?」
「…」
「どちらさま?」
「智…ちゃん?」
受話器越しに聞こえてきた第一声にドキッとしてしまった。誰だろう? そのように呼ぶ人なんていたっけ?
「だれなんだ?」
「開けてくれない?」
うーん、取り敢えず悪い人ではなさそうだ。そう思い、受話器を戻して、ドアを少し開ける。
風がスーッと入ってくる。それに乗った甘い匂いが鼻につく。小さな少女が立っていた。
「あの…」
いや、小さいと形容したが背丈は同じくらいか? でも少女だ。
「えっと…」
葦のように、しなやかな髪と
「智ちゃんだよね?」
紙のように、白い足。
「智ちゃんだ! 」
そう言って少女は抱きついてくる。
「いやいやいやいや、ちょっと待て」
「ん?」
「お前は誰だ?」
「ひっどーい、はるばるここまで来てあげたのにいきなりそれは無いでしょーーー」
「えっと…」
「明美だよ、忘れちゃったの?」
なんで忘れていたんだろう。昔近所に住んでいた、所謂幼なじみってやつだ。でも別々の中学になって会うこともなくなっていた。しかしここは敢えて
「ふーむ、誰だっけ?」
「ぐすん、ま、いいから上がらせてもらうよ」
「待て待て待て」
と言っている間に、少女はトランクをリビングまでゴロゴロしている。
「おい、キャスターあるからって転がすなよ、傷つくから」
って何言ってんだよ。突っ込むところが多すぎて…
「ゴメンなさーいwww」
「えっと、こういう時って茶を出すのか?」
「じゃ、お願い」
自分が何を言っているのか分からなくなってきた。なぜ

残念ながら, ファイルはここで終わっています. 一年半前の自分は, どういう物語を書こうとしたんでしょう... どうもこの主人公, 当時の自分の性格をよく表している感じがします. 退屈していて, 満たされなくて, 何か大きなイベントを待ち望んでいる, そんな. ちなみにこれを書いたのは, Twitterを始める前, 大学入って二回目の, 長い長い夏の始まる時期でした.