Control.ArrowでFizzBuzz

もうね, 何番煎じか分からないよ. それでもFizzBuzzは飽きないから奥が深いよね.

昨日からArrowを初めて, 取り敢えずGeneralising Monads to Arrowsにさっと目を通した. 良い論文だった. つーこって, FizzBuzzを書いてみよう(お約束!!!

まず最初に書いたコードはこんな感じ.

{-# LANGUAGE Arrows #-}
import Control.Arrow
r s b = if b then s else ""
fb = proc x -> do a <- (==0).(`mod`3) -< x
                  b <- (==0).(`mod`5) -< x
                  c <- r "Fizz" -< a
                  d <- r "Buzz" -< b
                  e <- arr (uncurry (++)) -< (c, d)
                  f <- (=="") -< e
                  g <- arr (uncurry r) -< (show x, f)
                  arr (uncurry (++)) -< (g, e)
main = mapM_ (putStrLn . fb) [1..100]

このコードで勿論ちゃんと動く. この時点では十分に読める内容だと思うし, ここでワケがわからない様だと先が思いやられる. この状態から, 順番にコードを変形していく. fb関数しか触らないからそれだけ書いていくよ.

まずやったのは,

  • a <- ... と ... -< a というのがどちらも一箇所にしか表れない, そんなaを接続する

こと. aとbがそういう状態だから,

fb = proc x -> do c <- r "Fizz".(==0).(`mod`3) -< x
                  d <- r "Buzz".(==0).(`mod`5) -< x
                  e <- arr (uncurry (++)) -< (c, d)
                  f <- (=="") -< e
                  g <- arr (uncurry r) -< (show x, f)
                  arr (uncurry (++)) -< (g, e)

のようになった. r関数はさっきと同じね.

次に,

  • c <- f -< x, d <- g -< xと ... -< (c, d) を f &&& g -< x で結合

した. あと, show関数も中に押し込め, -<(x, f) とした後に(=="")も中に押し込めて-< (x, e)という風にする.

fb = proc x -> do e <- arr (uncurry (++)) <<<
                       r "Fizz".(==0).(`mod`3) &&& r "Buzz".(==0).(`mod`5) -< x
                  g <- arr (uncurry r) <<< show *** (=="") -< (x, e)
                  arr (uncurry (++)) -< (g, e)

んでもって, コードをじっと見る. 入力はx, eに入ってくる奴, ... (x, e)からgに入る, ... (g, e)から答え... ... answer -< (g, e) と, g <- f -< (x, e)を結合できないかと考える. そうすると,

fb = proc x -> do e <- arr (uncurry (++)) <<<
                       r "Fizz".(==0).(`mod`3) &&& r "Buzz".(==0).(`mod`5) -< x
                  arr (uncurry (++)) <<<
                     arr (uncurry r) *** id <<<
                       (show *** (=="")) &&& snd -< (x, e)

というふうになる. まず, sndでeを取り出しておいて, その次にidでスルーすると言った具合だ. この時点ではfirstやsecondは使わないほうがいい.

いよいよ最終段階だ. e <- f -< xとanswer <- g -< (x, e) の2つから, answer <- g <<< id &&& f -< xのように変形できる.

fb = proc x -> do arr (uncurry (++)) <<<
                     (arr (uncurry r) *** id) <<<
                       (show *** (=="")) &&& snd <<<
                        id *** arr (uncurry (++)) <<<
                           id &&& r "Fizz".(==0).(`mod`3) &&& r "Buzz".(==0).(`mod`5) -< x

これでほとんど完成だ. 後は(f *** id) <<<のfを隣に押し込めて

fb = proc x -> do arr (uncurry (++)) <<<
                     (arr(uncurry r) <<< show *** (=="")) &&& snd <<<
                      id *** arr (uncurry (++)) <<<
                         id &&& r "Fizz".(==0).(`mod`3) &&& r "Buzz".(==0).(`mod`5) -< x

あとモイッチョ (id *** g) <<< id &&& hの, gをhに押し込めて

fb = proc x -> do arr (uncurry (++)) <<<
                     (arr(uncurry r) <<< show *** (=="")) &&& snd <<<
                       id &&& (arr (uncurry(++)) <<< r "Fizz".(==0).(`mod`3) &&& r "Buzz".(==0).(`mod`5)) -< x

proc x -> ... -< xを消して

fb = arr (uncurry (++)) <<<
       (arr(uncurry r) <<< show *** (=="")) &&& snd <<<
         id &&& (arr (uncurry(++)) <<< r "Fizz".(==0).(`mod`3) &&& r "Buzz".(==0).(`mod`5))

完璧だ! ただ, どうもarr (uncurry (op))というのが三回も出てきていて, 汚らしい. これってA -> B -> Cな演算子で2つの線をマージするようなイメージなのだけど, こういう場面っていっぱいあるから前もって用意して欲しいよね... というわけで次のような演算子を定義してみた.

infixr 2 <+<
(<+<) op f = arr (uncurry op) <<< f

2つの線を結んで次に繋げるイメージだ. これを用いると,

fb = (++) <+<
       (r <+< show *** (=="")) &&& snd <<<
         id &&& ((++) <+< r "Fizz".(==0).(`mod`3) &&& r "Buzz".(==0).(`mod`5))

ワンライナーにして

fb = (++) <+< (r <+< show *** (=="")) &&& snd <<< id &&& ((++) <+< r "Fizz".(==0).(`mod`3) &&& r "Buzz".(==0).(`mod`5))

スペースを消して完成だ. 以下は, 完璧に動作する, Arrowを用いたFizzBuzzのコードになる.

import Control.Arrow
infixr 2 <+<
(<+<) op f = arr (uncurry op) <<< f
r s b = if b then s else ""
fb = (++)<+<(r<+<show***(==""))&&&snd<<<id&&&((++)<+<r"Fizz".(==0).(`mod`3)&&&r"Buzz".(==0).(`mod`5))
main = mapM_ (fb >>> putStrLn) [1..100]

こっそりmain関数の中も, (flip (.))から(>>>)に書き換えておいた. 矢印の向きを全て逆にすることもArrowなら簡単だ.

import Control.Arrow
infixl 2 >+>
(>+>) f op = f >>> arr (uncurry op)
r s b = if b then s else ""
fb = id&&&(r"Fizz".(==0).(`mod`3)&&&r"Buzz".(==0).(`mod`5)>+>(++))>>>(show***(=="")>+>r)&&&snd>+>(++)
main = mapM_ (fb >>> putStrLn) [1..100]

ここで定義した<+<や>+>は, かなり優先度を下げているが, これが割と味噌なのだ. 優先度を上げると何が起こるかは, 読者が確認して欲しい.

結論

式変形はパズルだ. ブロック線図を書いて, そこからいきなり(&&&)や(***), (>>>)などのコンビネータを用いた表現を書こうとすると, 天才でなければ間違いなく失敗する. 最初の最初に書いたように, 誰でも分かるように-<を用いたところからスタートするといいだろう.